加賀友禅作家 山下智久さんの新作振袖は「万が一」の世界
花鳥柄は加賀友禅の代表的な絵柄です。
去年、工房へお邪魔して地色を山下さんと一緒に決めた振袖がようやく染め上がりました。自分で言うのも何ですが、とても素敵になりました。あくまでも山下さんの作品ですからこんな言い方は失礼ですね。素晴らしいのは当然です。
加賀友禅は京友禅と違って、作家の数だけ個性があると、店主は考えています。それだけ個性に合った自分だけのきものが手に出来る、贅沢さが価格以上にあると思うのです。という訳で、当店の振袖展は「わたしの振袖展」というタイトルにしています。
残念ながら最近の振袖の傾向はあまりにもファッション化しすぎて、軽いものになりすぎていると感じています。あくまでもミスのフォーマルきものですから、おちゃらけではいかがなものか?という気持ちがあります。
ということで、当店では最近の流行り物には手を出さず、友禅物のしっかりしたものだけを取り扱っています。加賀友禅は作家ものを常に約10点手持ちしています。そのほかに手描き友禅タイプの加賀友禅調の振袖を約20枚。京友禅は店主の修業先でもある京友禅の老舗メーカー「千總(ちそう)」さんのものをメインに扱っています。古典柄ではここが一番です。他のメーカーさんも手本にしているずば抜けた存在です。創業453年の日本最高峰の本物の染屋さんなのです。
そんな訳でゑり華は「加賀友禅」と「京友禅」の2枚看板で振袖の品揃えをしています。本物の友禅の振袖をご覧になりたい方はぜひ、お下見ください。残念ながらその外はあまりございませんのでご了承ください。
横道にそれてしまいました。山下さんの振袖は古風な中にもしっかり自分を持っている方や、普段はスポーツに一生懸命でちょっと日焼けしている人も似合います。逆にいうとそんな女性になりたい人が着るとよいでしょう。それだけ、作品には個性があります。誰が着ても同じではもったいない。自分はこんな女性ですと主張し、周囲にそう感じてもらえるものこそ、「わたしの振袖」であると考えています。
暮れに年末ジャンボ宝くじの発表がありましたが、本加賀友禅の振袖も「万が一」の確率です。つまり世間にある振袖の中で本加賀に当る確率はその生産枚数から1万枚に1枚なのです。そんな振袖に出会える人は本当に幸せですね。
ちなみに男性アイドルグループ・NEWSのメンバーで俳優の山下智久さんとは全く関係ありません。ただの同姓同名です。でも若い頃の山下さんはジャニーズ系だったかもしれませんね。
四季を通じて着れる柄構成になっています。本振袖を示す振り口布も素敵な柄が散らして入ってます。