愛らしい明治から大正の子供のきものを展示

この時代の染物は友禅もありますが、素描のものがかなりあります。
ご存知のように、友禅は糊糸目と呼ばれる細く搾り出した糯糊で染料がはみ出さないように
施す、防波堤のようなものを柄の輪郭として染め分ける方法ですが、素描は「防波堤」なしに
ダイレクトで生地に描く方法です。

直接描いて染まるものということでは、墨描きがほとんどです。
明治の頃の地色は、やはり藍染です。
ですから、柄の部分を白く空けて藍染して、後からそこに柄を墨で描いていくという方法が
とられています。

柄を描く職人さんはぶっつけ本番で描くわけですから、絵師としての技量が相当高くないと
出来ない仕事なのです。
「ぶっかき」という表現もあるのですが、まさにぶっつけ本番で描くからそんな風に言うように
なったのかもしれませんね。

現代の友禅師の方でこんなお仕事が出来る方は失礼ながら少ないと思います。
出来る方を何人か知ってはいますが、それでもこの時代の職人さんは達者です。
非常に精緻で、しかも優しく、何とも愛らしく描かれているのです。

そんな素晴らしい先人の仕事をじっくりと味わっていただければ幸いです。

■内容 花岡コレクション~「時代子供のきもの展」
■期間 平成21年2月5日~28日まで
午前10時~午後7時 水曜定休
■場所 タテマチ中ほど 加賀友禅の店 ゑり華本店内
加賀染織工芸サロン1階、2階
■入場 無料