成人式はお母さんの振袖で
新成人の皆さん、おめでとうございます。ご両親、並びにおじいちゃん,おばあちゃんのお喜びも一入(ひとしお)のことと思います。
当店でも加賀友禅&千總の振袖を専門に扱っていますが、もっと大切に扱っているのが、お母さんやおばあちゃん、お姉さんの振袖です。当然、お客様が持ち込まれるので、店に最初からあるわけではありません。
時代を超越しているものと時代遅れのものと、どちらも「古い」のですが全く意味が違うのです。この違いが分かるか分からないかなのです。
「この振袖でしたら親子三代お召しになれますよ。」とお勧めします。「本物で良いもの」は時代を超えて値のあるものなのです。その時だけの「流行もの」はその時だけのもので、時間が経つと古臭くなってしまうのです。
いづれも想いの詰まった衣裳ですから、気に入っていれば、何とか着せてあげたいと思います。店主が気を使うのは、着られる人が「恥をかかない」ことと「それなりに素敵にする」ことです。あまりに「お粗末」なものはハッキリ「これはお嬢様とご両親が恥をかきます。」と申し上げます。そして、お嬢様の個性に合わせて小物や帯を変えてコーディネートさせていただいてます。その見極めが出来るかどうかが問題なのです。
他店は分かりませんが、当店の優先順位は店にある振袖よりお宅の振袖です。自慢ではありませんが新品を売る点数よりコーディネートする枚数のほうが多いのです。
当店でのお買上の有無はまったく関係なくご相談に応じています。新しい流行モノがいけないとは言いません。タンスに眠っている素晴らしい、想いのたくさん詰まっている、お母さんの振袖を思い出して欲しいのです。
サイズの違い、シミや汚れの具合、好みの違いでリカバリー出来ないときもあります。しかし、もしお母さんの振袖を着ることができたら・・・みんな幸せなんですね。お母さんも、おとうさんも、その振袖をつくってくれたおじいちゃん、おばあちゃんも、そしてその愛情を受け継いだお嬢さんも。 いつでもご相談ください。
おまけ:一入(ひとしお)は程度が増す様を表します。この「しお、しほ」は染物で染料に浸す回数を意味する言葉です。一入は一度染料に入れることをいいます。再入(ふたしお)は2度染料に浸すこと。お料理の「一塩」とは意味が違います。