時代子供の着物展 PartⅠ~加賀会場で

金沢タテマチ本店内での展示を終え、今月からは加賀染織工芸館での展示となります。10月28日まで、金沢会場とまた雰囲気も違ってお楽しみいただけます。
ちょっと涼しくなってからの、夏物の展示のため、今まで藍染めに囲まれた空間が、爽やかな明るい色目になっています。
子供の成長を願う親の気持ちに包まれる、幸せな子供のような気持ちになるのは私だけではないはずです。是非、皆さんも不思議な体験を味わってください。
金沢倶楽部さんの月刊誌「金澤」の11月号(10月20日発売号)で「骨董を、愛す」という特集が組まれます。そこに当店会長が登場します。ご紹介するお宝の逸品は今回展示されている、すすき野に猪柄の一つ身の男児着物です。
当店の工房「華」のチーフディレクター小林秀明氏は「いったい、どんな筆でこれは描かれたものか想像が出来ない!」と言います。それ程細い線がしっかり描かれており、勇猛でちょっとやんちゃな猪が表現されています。当時の職人さんでも、よっぽど筆の立つ絵師であったに違いないという見方が出来るのです。
お誂えが出来るのは、よほど裕福なお家方ですが、庶民は庶民で、親の大切に使っていた着物を子供の着物に仕立て直し、そこに背守りとして、可愛い押絵紋や刺繍紋を入れています。渋いですが経緯絣の上布(麻織物)も今ではほとんど織ることの出来ない貴重なものです。現代では超高級品です。越後上布の価格を考えれば想像がつきますね。こんなきものを着ていた子供たちは幸せであったろうなと思う店主でした。

付紐の紐飾にもお揃いの菊の刺繍が施されています。