おひきずりの話 その3

何とか納期に間に合った、おひきずり。その後のお話。芸妓さんは昨年デビューした、西のはん家さんのゆめ吉さん。この日は苦労して仕上げた加賀友禅作家の下村栄三さんとのご対面が実現しました。ゆめ吉さん自身とても気に入って下さり、周囲の方も性格にもピッタリとお褒めを頂いたとか。友禅師さんにとっても実際に着姿を目の当たりにして感動してくださいました。踊る姿にしてもまだ1年も経っていないのによくここまで出来るものだなあと感心した次第です。
下村さんは加賀友禅の中でも黒留袖を得意としており、特に有職文様や、能衣装の柄などをモチーフに独自の作風を展開している人気作家さんです。今回のゆめ吉さんのおひきずりも下村さんが得意とする前田家伝来の能装束から取材したものです。雲取の中の鱗柄は1cm四方の方眼紙の目を細かく塗り分ける気の遠くなる仕事です。
ゆめ吉さんは学生時代から邦楽もされていて、この柄をとても気に入ってくれました。同じはん家のぽん太さんと共に1月7日放映のテレビ金沢「かなざわ散歩道」でも紹介されました。これからの活躍が楽しみな芸妓さんです。