背守り~加賀の押絵紋 その2

押絵作家の山本ユタカさんのご紹介をしたいと思います。実は女性です。
金沢の方ですが、現在は大阪・高槻にお住まいです。ご主人のお仕事の関係で、金沢を離れていらっしゃいますが、感覚はまさしく金沢の方です。 私たちとの出会いは、ちょっと面白い話です。
JR金沢駅の百番街の私どものショップ「華やKANAZAWA」で加賀友禅の端裂(はぎれ)を探していらっしゃるお客様がいらして、何にお使いですか?と尋ねたところ、「押絵」に使いますとのこと。時の店長は、「せっかく当店で染め出ししている加賀友禅生地で作ったその押絵を一度見せてください」と逆にお願いしたんです。

何ヵ月後かに出来上がった作品を見せていただいて、びっくり!素晴らしい作品ではありませんか!特に色の配色と、面相(顔の目鼻を墨で書き入れること)が優しい表情で親しみが持てました。これなら是非、このお店で売らせてもらえませんか?とお願いしました。その方が山本ユタカさんなんです。
聞けば、教え教室で押絵を教える先生の先生とのこと。面相の号までお持ちで(押絵が出来る人は多いのですが目鼻まで入れられる人は少ないそうです)、日本画の勉強(押絵の色紙などの背景を描くために)もされています。オリジナルの押絵を作っていただくにつけて、生地は当店からのものを使っていただくことにしました。

小さい時から日舞を習い、お針を持ってこまごまとしたものを色々お作りになっていた趣味が高じて、先生にまでなってしまったんですね。ただ好きではここまでにはならないと思うのですが、やはり、律儀でまじめな方なんですね、作品も生地目を通すことや、丁寧さが際立っています。特に小さな背守り押絵紋のように、細かいお仕事ではアラが目立ちますが、非常にきれいで、バランスが取れていますので、紋として付けて恥ずかしくないのです。これが雑でゆがんでいたりすると、とても良い場所には付けていけないことになります。要は「おもちゃ」みたいになってしまうんですね。ご本人もその点を重視されています。山本ユタカさんとゑり華だからできる作品という自負が先生ともどもあります。その技を姪御さんの寺井正恵さんに教え込まれ、現在はその寺井先生に押絵紋はほとんど作って頂いているのです。是非その技をご覧になってください。

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