子供の着物が花嫁のれんに
親が自分のためにつくってくれた三ツ身の着物を花嫁のれんにしてもらえませんか?
そう、ご相談に見えたのは今年の3月ごろでした。
ちょうど一年前ぐらいに東京よりお越しになり、当店で花嫁のれんをいろいろ見られて
家にある子供のきものが不憫で何とかしてもらえるでしょうか?というお問い合わせを
されていました。
とにかく、現物を見ないことには何ともお返事の仕様がなく、それではまた、春頃に
金沢に参りますといわれて帰られました。
そして、お約束どおり3月にお見えになったのでした。
その着物は不幸にもお仕立屋さんで裁ち間違いをされ怒った親が袖を捨ててしまった
そうです。
しかし、自分とすれば親が自分のためにつくってくれたもの。何とか出来ないかという
気持ちで当店にご相談にみえたのでした。
どこも取り合ってくれない、不憫なきものを何とかしてあげたいという気持ちがふつふつ
湧いてきました。
先ずは、洗い張りをして出来るだけシミなどを取って綺麗にしました。
残された生地だけでは要尺が足りないので同じような地紋の入った生地を探して
紋を入れて染めることにしました。
身幅が三つ身で小さいためまともなサイズにはなりませんでしたが、裏地もいかして
仕立屋さんにもご苦労頂いたお陰で、袷仕立ての可愛い花嫁のれんが出来ました。
お客様はとても喜ばれ、わざわざ御礼の言葉を頂きました。
これで、天国のお母様も喜んで下さっていることと思います。
いいお仕事が出来たとき、何ともすがすがしい気持ちになれる店主でした。感謝