加賀友禅 上田外茂治さんの工房で

先日、東山のご自宅兼工房へお邪魔しました。上田さんは石川県無形文化財の指定を受けた作家さんです。奥様とお二人だけでお弟子さんはいらっしゃいません。
今回、お邪魔したのはどうしても上田さんにお伝えしたいことがあったからです。伝統工芸展にも出品されている上田さんに注文をつけること自体恐れ多いことですが、私の話をしっかり受け止めてくださいました。その人柄が作品にも表れているのです。
初期の作品は裾模様(黒留袖や色留袖)が多かったようですが、工芸展へ出品するようになってご自分の作風が変わったとおっしゃいます。発表される作品はいずれも力作です。手抜きの無い素晴らしい姿勢には感動です。
1ヶ月に3枚がやっとのお仕事で、年に2回は公募展への作品づくりに費やされるため、年間の生産枚数はせいぜい30枚です。なんと貴重な作品を私たちは目にしていることかと思わずにいられませんでした。
私がお伝えしたかったのはお客様の想いです。世間では200万円位の価格になっている大変高価な品物です。着られる女性の気持ちを考えるとこうはならないでしょう、ということがあります。些細なことかも知れませんが、着る人にとっては重要なことだと思うのです。 上田さんの工房を後にした私は緊張で汗びっしょりでした。ありがとうございました。

上田さん(左)と桜柄の図案の前で。
私がメインに写ってしまって申し訳ありません。撮影は新保さんでした。