加賀友禅巨匠三故人の染帯 その2 水野 博

人間国宝・木村雨山、水野博、談議所栄二。
半世紀前、加賀友禅を日本的なレベルに押し上げた巨匠たちです。
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お二人目は水野 博 作  「鯉」 です。
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思わず息を呑む、その迫力はさすが「水野博」と落款を見ずともうなずく
云わずと知れた名作で、水野博しか描けなかった「鯉」なのです。
背景が黒ですが、比べてわかる「濃紺」の地色。地色だけでも惚れ惚れと
見入ってしまいます。
ひれやえらには「糊」でなぶった跡があります。このアドリブ感が
巨匠のなせる業。
また、この当時は雨山さんはじめ皆さんが金箔も上手にこなしていました。
鯉の真ん中に見える黄色は「金色」。「純金箔」なのです。
写真ではわかりにくいのですが、鯉の目には「ウルトラマリン」の顔料差し
が施されています。天然物は金より高いと云われた顔料です。
店主の母親である大女将が同じ柄の物をよく締めていたのを思い出します。
これは染帯ですが、金箔まで使ったこの逸品は簡単な訪問着でも難なく
締められる気品を備えています。             店主